アメリカテキサス州の田舎町シルバートンに竜巻を追って来たストーム・チェイサー(竜巻撮影隊)と地元高校の教師の2つの視点で、町を襲う未曾有の竜巻の脅威を描いたディザスター(大災害)ムービー。
1996年に公開された『ツイスター』という映画が同じ巨大竜巻による災害を題材にした映画でした。当時21歳だった僕はその迫力とCGに大興奮したものですが、『イントゥ・ザ・ストーム』はPOV(主観視点撮影)による迫力あるカメラワークで観客が風速135m/秒の竜巻を体験するかのような映像を作り出しています。
『ロード・オブ・ザ・リング』3部作の前日譚『ホビット』でドワーフのリーダー、トーリンを演じたリチャード・アーミティッジ主演。
あらすじ
シルバートン高校の教頭であるゲイリーは高校生2人の息子の子育てに悩むシングルファーザー。高校の卒業式を迎えたゲイリーは、息子に卒業式のビデオ撮影を頼む。だが、兄のドニーは反発する父親の頼みを弟のトレイ1人に任せて、片想いの同級生ケイトリンの課題を手伝うために町郊外の廃工場へ。
同じ頃、ストーム・チェイサーチームの気象学者アリソンとドキュメンタリー・カメラマンのピートは長い間、竜巻の映像を納めることが出来ず、いよいよスポンサーを失おうとしていた。そんな彼らは最後のチャンスを求めて異常な気象を探知したシルバートンの町を訪れ、そこで巨大な竜巻の連続発生を目の当たりにする。
屋外で執り行われる高校の卒業式典会場を仕切っていたゲイリーは、突然の暴風雨に生徒たちを校舎内へと避難させる。だがその時、巨大な竜巻が高校へと近づいていた…。
感想
登場人物が持つハンディカメラや町中の監視カメラによるPOV(主観視点撮影)で、迫力ある映像になっています。前半から中盤に発生する竜巻はそのハンディカメラなどを通して見せるシーンが多いので、観客がその凄さを体感することになります。
クライマックスに発生する映画史上最上級?のEF5クラスの竜巻はまさに怪物です。「ツイスター」の竜巻は牛やトレーラーを巻き上げていましたが、今作ではジェット機まで巻き上げます。その風速は135m/秒。ただし、この巨大竜巻はそのカメラワークは使えません。身を守るために両手がふさがってるからです。なので、その迫力と恐怖体験は半減します。
ドキュメンタリー・カメラマンのピートが追い求めた光景を最後の一瞬にカメラに収めることが出来ますが、感動的なシーンとは感じられなかったのが残念です。
ストーム・チェイサーの一方で、自分の息子達と高校の生徒達を守るために奔走するゲイリーは、不器用な様と息子を大切に思う姿がよく出ていて、良いキャラクターでした。ドニーが父親と弟にビデオレターを残すシーンも良かったです。
レビュー
ただ、竜巻に対する畏怖の念を感じられたのは『ツイスター』でした。風速135m/秒の凄さは確かに感じることが出来るんですが、「絶望感」は全くありませんでした。恐らくいちばん巨大な竜巻が発生したその瞬間のカットを地上のカメラではなく、ヘリからの空撮カメラの視点にしてしまったためにその大きさを実感することなく、竜巻に巻き込まれてしまったからです。
どうせなら『クローバー・フィールド』や『クロニクル』のように前編POVにすれば良かったのにと思います。そうすれば最後まで緊迫感を保つことが出来たのに。
はじめにドニーが町の人達や卒業生にタイムカプセルに入れるビデオを撮影していて、そこに映る人たちの名前や肩書なんかをテロップで表示していくので、各登場人物にそれぞれドラマが有ったり、その人達の複数の視点で物語が進むのかと思っていたら、全く違ったのでアレの意図が全く分かりませんでした。
迫力ある映像という点では映画館向きですが、お金と時間に余裕がある方にはおすすめです。今話題の4DXだとまた違った感想になったかもしれません。
★★★(★3.0)