モンキー・パンチの漫画を原作に、オリジナルストーリーで実写映画化。監督は『あずみ』『ゴジラ FINAL WARS』の北村龍平。主人公アルセーヌ・ルパンの孫、ルパン三世に小栗旬、セクシーな女泥棒峰不二子に黒木メイサ、次元大介に玉山鉄二、石川五エ門に綾野剛、銭形幸一に浅野忠信など、若手の人気俳優を中心にキャスティング。アクションとミステリーの娯楽活劇。
あらすじ
紀元前の昔、クレオパトラが所有していたとされる世界で最も美しいジュエリー、クリムゾン・ハート・オブ・クレオパトラは何者かに盗まれ、長い間歴史の表舞台から姿を消していた。だが21世紀の現代、その秘宝は世界的な盗賊集団THE WORKSの首領ドーソンの手にあった。ドーソンはTHE WORKSの後継者を新世代の若者達のなかから選ぶべく、自分の屋敷に集めた。
その中には、ドーソンの用心棒次元大介、女泥棒の峰不二子、アルセーヌ・ルパンの孫にして国際指名手配犯のルパン三世の姿が。そして屋敷の外には指名手配犯たちを一網打尽にしようと国際刑事警察機構インターポールの銭形警部が張り込んでいた。
後継者候補のルパン達を自分のコレクションを展示した金庫に案内するドーソン。しかしその時正体不明の3人組が屋敷を襲撃する。目の前でドーソンの命と首飾りを奪われ為す術なく撤退するルパンだったが、不二子と次元と共に首飾りの奪還を誓うのだった。
感想
監督の北村龍平はハリウッドに行っている間に何をしていたのでしょうか?ここ10年、彼の作品は全く見ていませんでしたが、全くセンスが感じられませんでした。2014年の『ゴジラ FINAL WARS』では5年も前の『マトリックス』を真似たシーンばかりを見せられ驚いたものです。
今回残念に感じたシーンの1つは致命的にスピード感の無いカーチェイスです。ルパンの愛車フィアットと四駆のスピードとパワーを無視したものでルパンのドライビングテクニックを見せるはずのシーンでしたが、60km/hくらいに感じる全く迫力のないものでした。
また、ルパンと峰不二子の距離感を表すダンスシーン。おしゃれなシーンに仕上げたかったんでしょうが、かけらも感じられませんでした。これがアンジェリーナ・ジョリーとブラッド・ピットであれば、特別な演出はなくても良かったのでしょうが。
小栗旬を始めとする主要キャストは意外に悪くないと思いました。特にアクションはなかなか頑張ってました。アクション俳優不在のキャストでありながら仮面ライダーの映画程度には頑張っていました。
ただ、ルパンと銭形のモノマネを許したのは理解し難い演出でした。インタビューによると小栗旬さんの演技プランの一つとして山田康雄氏の台詞回しを真似たようですが、それにOKを出した北村氏の判断を原作やアニメへのリスペクトやオマージュなどではなく、ファンに対する安易なおもねりなのでは?と感じました。アニメに敬意を払いながらもっとまともな演出をお願いしたかったです。
それとその人物は必要?という無駄なキャストと出番が多いなという印象。そのせいでいらないシーンが多くて無駄に長い。もっと短くでき、1日の上映回数なども増やせたはずですが、それを選択しなかったということで、バーターやスポンサー事情が裏側に見えて嫌な感じでした。
レビュー
北村監督はトム・クルーズの『ミッション・インポッシブル』の様な映画を撮りたかったのではないでしょうか?ですが、残念ながら監督の力も予算も全く足りなかったと言わざる得ないでしょう。課題はアニメにとらわれすぎたオリジナリティに欠けた演出とダサい画作り。シーンの最初のカットを何でもかんでも、正面からシンメトリーに撮ってばかりで、何度も同じようなカット見せられお腹いっぱいです。
脚本は致命的に酷いというほどではないので、現実的では無いけど、リュック・ベッソンやジョン・ウーが監督ならもう少し面白くなったはず。
『スパイダーマン』や『アイアンマン』などのマーベル映画のスタン・リーよろしく、原作のモンキーパンチがカメオ出演してるので、お見逃し無く。あと、山田優も。
銭形が埼玉県警のパトカーに乗って現れるシーンは原作へのオマージュなのでしょうが、湾岸のシーンで絶対にやってはいけなかった演出なのではないでしょうか?
★★☆(★2.5)