フライト・ゲーム

flightgame

『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』『96時間』『バットマン ビギンズ』のニーアム・リーソン主演で大西洋上の旅客機内という密室で繰り広げるクライム・サスペンス・アクション。主人公ビルをサポートする謎のヒロインにジュリアン・ムーア。原題は『NON-STOP』

あらすじ

ニューヨークからロンドンに向かう飛行機に任務のために一般客を装って搭乗した航空連邦保安官のビル・マークス。実は飛行機の離陸が苦手。掌に娘からもらったおまじないのリボンを巻いて震えていると、隣の席の中年女性ジェン・サマーズが彼を気遣うように話しかける。ビルが彼女と取り留めのない会話をする内に無事飛行機は飛び立った。

飛行機が大西洋上を順調に飛行している頃、ビルの持つ連邦保安官専用の秘密の回線を使用した携帯電話宛に、匿名の人物からのメッセージを着信する。それは「1億5000万ドルを指定の口座に振り込まなければ、機内の誰かを20分毎に1人ずつ殺す」と言う脅迫のメッセージだった。

機長に脅迫の事実を伝え、マニュアルに従って引き返す様に進言するビルだったが、ビルがアルコール依存症であることを知っている機長はいたずらだろうと取り合わない。捜査もロンドンに到着後にCIAが行うから大人しくしていろと指示を受ける。

だが、乗客の安全を再優先に考えたビルは、ジェンとCAのナンシーに協力を仰ぎ、独自の捜査を始める。犯人とのメッセージのやりとりを続けながら、機内の全搭乗者をモニタでチェックしていると、不審な動きをする客をジェンが見つける。だが、それはビルにとって意外な人物だった…

感想

犯行計画に一部、行き当たりばったりな部分があって気になるのがちょっと残念ですが、全体的に面白かったです。こういう映画は日常を離れて集中できる映画館で観ると面白さが増しますね。主人公のビルに近づいてくる人間、全てが犯人に見えて、飛行機に搭乗する前のシーンから良い緊張感です。

閉鎖空間、主人公の孤立、タイムリミット、全員容疑者で全員人質。サスペンスに良くある要素がたくさん詰まっていて、それどころか自分が犯人と疑われると言うハラハラ・ドキドキの息をつかせない展開ですが、うまくまとまってると思いました。

最近、遅咲きのアクション俳優として活躍しているリーアム・ニーソン。彼がスタントなしで、どこまでアクションシーンを演じてるのか分かりませんが、狭い空間での格闘シーン(飛行機内なので銃撃戦は少ない)は迫力があります。

ジュリアン・ムーア演じるジェンがビルをサポートする謎のヒロインのはずなんですが、CAのナンシーの出番がなかなか多くて、その辺りでジュリアン・ムーアの使い方に勿体無さを感じたので、配役に疑問が残りました。

ビルは犯人の目的が金では無いことを早々に見抜きます。犯人の目的はクライマックスに明らかになりますが、犯行動機の裏側をもう少し膨らませたら、厚みが出たかもしれません。上映時間が延びて緊張感に欠けてしまうかもしれませんが。

ビルの背景がもっと活きるように、子役の出番が、もう少しあっても良かったかなとも思いました。そうするとクライマックスのあるシーンが感動的になりそうです。

レビュー

映像の中に散りばめられたヒントを頼りに冷静に犯人探しをするような映画ではなく、主人公のビルに感情移入して緊迫感を味わうのがこの映画の楽しみ方だと思います。

途中、ビルとジェンのやりとりに気になる所がありました。そこに絶妙な伏線なんかが含まれていたら、星半個増えてたかもしれません。ひょっとしたらもっといろんなシーンを撮影していたけど、編集でカットしたのかも。

正体の分からない犯人との攻防がメインなので、アクション映画ながらあまり派手さはありませんが、ビルが最後に銃を撃つシーンが「いや、それは無理だろ!」と思いつつもかっこ良くてシビれました。

ハンニバル以来、久しぶりスクリーンでジュリアン・ムーアを観ましたがおばさんになってしまったのが残念。

★★★☆(3.5)