他人の記憶に潜入する特殊な能力を持つ男が16歳の美少女の記憶に仕掛けられた謎に挑む。主人公ジョン役にマーク・ストロング。謎の美少女アナ役にタイッサ・ファーミガ。スペインの新人監督ホルヘ・ドラドの「記憶」をテーマにしたミステリー。
あらすじ
他人の記憶に潜入できる特殊な能力を持つ超能力者が存在する近未来。彼は記憶探偵と呼ばれ、その能力は捜査などに活用され数々の事件を解決へと導いてきた。マインドスケープ社の記憶探偵の一人ジョンは腕利きの探偵だったが、妻の自殺がきっかけで能力を十分に発揮できなくなり休業中だった。
しかし経済的な事情から、妻との思い出がつまった家を手放さなくてはならなくなったため、マインドスケープ社に復帰と案件の斡旋を打診する。上司のセバスチャンから与えられたのは、16歳の少女アナの記憶を探り、彼女のハンガーストライキを解消させるという簡単な仕事だった。
アナはとても美しい娘で、大富豪の母親と継父と郊外の屋敷に住んでいた。アナはIQが高く幼い頃から変わった子供で、学生になってからも数々の問題を起こししたため、屋敷で看護師による24時間の監視下に置かれていた。
アナが手を終えなくなった継父のロバートは、施設に入れようと準備を進めたため、アナはハンガーストライキに及んだのだ。屋敷を訪れたジョンはアナの記憶に潜入し、衝撃的な光景の数々を目撃するのだった。
感想
この映画は、主人公ジョンと事件を操る謎の人物の「事実」を巡る対決のお話です。ミステリーなので細かな部分については書きません。
まず、この映画を観るにあたって、一番大切なのは「記憶」は「事実」とも「真実」とも限らないということです。記憶に潜入できる能力は一見すると事件解決に完璧な手段の用に思えますが、そうではありません。「記憶」は間違えもするし、改変もできるからです。
他人の記憶の中に潜入しそれを覗けるという超能力を持つ主人公なので、映像的な仕掛けを見落とさないように注意深く見ていたつもりでしたが、それ以外の部分にもたくさんのミスリードとある人物が仕掛けた真相に迫る幾つもの謎がありました。
中盤まで物語が進むと、事件の全体像や一連の事件を操る人物の目的、仕掛けの正体は見ている人にだいたい分かるような、分かりやすいストーリーになっています。なので、2、3回観ないと意味がわからないというような内容ではないですし、2回目を見ると見方が大きく変わるというような叙述トリック的なミステリーではありませんが、レンタルが始まったら見なおしてみたいと思います。
レビュー
「記憶」に仕掛けられた謎を主人公と一緒に観客が解きながら観る映画です。若干のSF要素はありますが、本格的なミステリーと思って観て良いです。同じ主人公で違った切り口の続編が作られるのであれば、また見に行きたいと思いました。
「記憶」に潜入した時のリアリティが重要な物語なので、特に斬新な映像表現などはありませんが、全編通して重厚な画作りと主人公ジョン役のマーク・ストロングもすごくセクシーな表情。そして何よりタイッサ・ファーミガが演じるアナが放つ危険な美しさに、その世界に引き込まれるようでした。
タイッサ・ファーミガは1994年ニュージャージー州生まれ。女優ヴェラ・ファーミガの21歳離れた妹。姉が監督を務めた『ハイヤー・グラウンド』(’11)で映画デビュー。ソフィア・コッポラ監督作『ブリングリング』(’13)やTVドラマ「アメリカン・ホラー・ストーリー」の1stシーズンに出演。今後は『At Middleton』『Jamesy Boy』などの公開が控えている注目の若手美人女優です。
★★★☆(3.5)