岩明均原作の名作「寄生獣」が山崎貴監督で実写映画化。高校生泉新一とその右手に寄生したパラサイト「ミギー」」は、人間に寄生し、人間を食い殺す未知の寄生生命体「パラサイト」と人類の生き残りを賭けて戦う。主演は染谷将太。ミギーの声優に阿部サダヲ。他、原作のイメージを崩さない豪華俳優陣が集結した意欲作。
あらすじ
地球上の誰かがふと思った
「人類の数が半分になったら いくつの森が焼かれずにすむだろうか……」
地球上の誰かがふと思った
「人間の数が100分の1になったら たれ流される毒も100分の1になるだろうか……」
誰かが ふと思った
「生物(みんな)の未来を守らねば……………」
地球上に突然現れた未知の生命体「パラサイト」。元は蛇のような体を持った彼らは、人知れず人間の脳に寄生し、人間に擬態し、人間を捕食した。その為、無残な死体が各地で相次いで見つかりはじめ、カルト集団による集団猟奇殺人として世間を騒がし始めていた。
母親と親一人、小一人ながら平凡に暮らしていた高校生の泉新一。ある夜、彼の元にも一匹のパラサイトが現れた。新一の脳を奪うことに失敗したそのパラサイトは、新一の右腕に寄生しすることになるのだった。
やがて知能を持ち、知識を得てコミュニケーションを取れるまでに成長したパラサイトは自分をミギーと名乗り、新一の共同生活を始める。自分に右腕に寄生した正体不明の生物そのものと、人間と寄生生物の当然の価値観の違いとに戸惑い、母親や友人にも相談出来ない新一。
そんなある日、新一は街角でミギーはある波長をキャッする。それを「仲間」だと感じたミギーは新一と共に一件の中華料理店へと入っていく。だがそこでは、頭部が大きく裂けた異形の生物が人の肉をむさぼっていた…
感想
原作を忠実になぞろうという制作側の意図がよく見えました。その中で、映画の尺の中に収めるために、脚本が無理なく上手く改変・工夫されています。序盤のミギーと新一の出会いのシーンにはもっと緊張感が欲しかったですし、ポイントでは映画的な絵作りのために、原作とは違う部分もありますが、原作の前半のテーマと各キャラクターの役割もよく理解して描けていると思います。原作漫画を台無しにする映画が多い中、予想以上の出来でした。何人か脇役のキャラクターが登場しませんでしたが、これは映画の時間的な制約上仕方がないですね。
物語の前半はミギーが人間社会に興味をもつくだりを中心に結構コミカルに描かれ、後半はシリアスでバイオレンスな展開となります。
パラサイトたちのCGは良く出来てたと思います。クリーチャーのデザインもほぼ原作を踏襲していました。ミギーの質感にCGぽさが残っていて、違和感があるんですが、あれで正しいんですかね?もう少し人の肌の質感があるものなのかと思ってました。毛穴とかシワとか。
阿部サダヲの能天気な声だけが不安だったんですが、以外と初めから違和感はなかったです。彼の声が大丈夫そうなら原作ファンにもオススメ。
田宮良子は出来れば、篠原涼子か松雪泰子辺りにお願いしたかったです。深津絵里だと童顔すぎて田宮良子の爬虫類的な冷たさがなかったです。その点、島田秀雄を演じた東出昌大は、原作のキャラクターと役作りこそ違いますが、パラサイトの人間と異なる価値観が表情によく出ていて気持ち悪かったです。
新一とミギーが「混ざった」後の髪型は分かりやすく変えてくれた方が良かったような気がします。
橋本愛演じる村野里美がとにかく可愛いです。初めての正統派ヒロイン役でしょうか。
レビュー
映画館が7割以上埋まっていました。高校生くらいの学生が多かったです。アニメの影響でしょうか。邦画業界に明るい話題を作ってくれる映画になりそうです。
一つだけ、公開前から気になっていた今作のストーリーが進んでいくと大きく変化するテーマをどう描くのかについては、後編を見ないとなんとも言えなさそうですが、きっと原作同様熱いものになると期待しています。
シーンの感想について、あえて詳しく書きませんでしたが、映画館で是非観て欲しいです。
★★★★(4.0)
監督 | 山崎貴 |
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出演 | 染谷将太 橋本愛 深津絵里 阿部サダヲ |
上映時間 | 109分 |
映倫区分 | PG12 |
エンドロール | おまけ映像あり |