『ロード・オブ・ザ・リング』三部作の前日譚。小さく温厚な性格のホビット族の青年、ビルボ・バギンズが屈強で頑固なドワーフ族と彼らの王国を取り戻す冒険を描いた大スペクタクル冒険活劇。前作『竜に奪われた王国』の続編にして完結編。監督は引き続きピーター・ジャクソン。主演はマーティン・フリーマン。
あらすじ
はなれ山にある祖国エレボールの城で、邪悪なドラゴン、スマウグと対峙したドワーフ達だったが討伐は失敗に終わり、怒ったドラゴンは人間が住む山麓の湖上の街エスガロスを滅ぼさんと飛び立ったのだった。
はなれ山の頂から、スマウグの吐く劫火に焼かれるエスガロスを呆然と眺めることしか出来ないビルボとドワーフの一行。一方スマウグに襲われた街は悲鳴を上げる人々で混乱を極める中、エスガロスの領主は町の人々や部下を見捨て、金品を船に積み込み崩れ落ちる建物の間の水路を逃げ出そうとしていた。
牢に閉じ込められていた王族の末裔バルドは、街の混乱に乗じて牢を脱出すると、家族を探して自宅に向かう。だが、すでに家族の姿はなかった。バルドは弓矢を手に取ると、自宅の天井を突き破り屋根伝いに街で最も高い建物の鐘楼を目指すのであった。その姿を避難する船の上から見つけたバルドの息子バインは、家族をエルフの戦士タウリエルにまかせ、父の後を追う。
鐘楼に辿り着いたバルドは街の上空を飛び、炎を吐くスマウグに矢を放つが強固な竜の鱗の前には刃が立たず、残りの矢もなくなり、弓も壊されてしまう。スマウグは街に降り立つと、非力なバルドを嘲笑いながら、炎で鐘楼ごと焼き尽くさんと迫った。そこに息子のバインが王族に伝わる黒い矢を持って現れる。
彼は崩れかけた鐘楼の柱に弦を張ると、バインの肩で黒い矢を固定しスマウグへと狙いを定めた。スマウグが口から炎を吐く瞬間、バルトは黒い矢を放つ。その昔、人間がスマウグに一矢報いた際に付けた傷が残る鱗のない胸の一点をめがけて。
感想
強大な敵を倒した感は無く、カタルシスに欠けました。スマウグを倒した時点で最大の見せ場が終わった感が強く。三部作の完結編としては物足りません。
主人公のビルボにたいしても見せ場がなく、もう一人の主役であるはずのトーリンが狂気に取り憑かれて、物語を牽引するキャラが人間のバルトへと移りますが、彼にも後半大した見せ場はありません。
後半は戦闘シーンが続くばかりでお腹いっぱいですが、物量で『ロード・オブ・ザ・リング』を上回っていません。ドワーフが13人加わっただけで形勢が逆転するなんてことはあり得ないし、絶体絶命の危機感もなく、前作、前々作のような手に汗握る心理戦も無かったのが残念です。
そもそも、ガンダルフはなぜこの旅を始めたのか。トーリンが財宝に取り憑かれる事は予測出来たんじゃないのか。スマウグ倒したら民族間戦争になることも予想出来たのではないのか。そんな疑問が残りました。
戦争が終結した後、レゴラスは父親である闇の森のエルフの王スランドゥイルに国には戻らない決意を伝えます。そんなレゴラスに対してストライダーを探すように言う王。ストライダーとは『ロード・オブ・ザ・リング』に登場するアラゴルンの事ですが、この時期にはアラゴルンはまだ10歳の子供でストライダーとは呼ばれてないんじゃないのかと頭が混乱しました。
レビュー
とにかく長いです。当初の予定通り二部作にまとめて欲しかったです。ファンタジーのテイストに仕上がってますが、民族間の戦争に帰結するあたりが、残念で仕方がありません。
あと、エルフの奥方強すぎます。
★★★☆(3.5)
『ホビット 決戦のゆくえ』公式サイト
監督 | ピーター・ジャクソン |
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出演 | マーティン・フリーマン イアン・マッケラン リチャード・アーミテージ オーランド・ブルーム |
上映時間 | 145分 |
エンドロール | おまけ映像なし |